The double

cotteの脳内日記

祖母の味

年始の準備もそろそろ大詰め

さいごは夫の地方の郷土料理の「のっぺ」を

寸胴鍋いっぱいにつくる

 

これにとりかかると

いつもは忘れている

夫の祖母を思い出す

 

私自身が実際に顔を合わし

話をしたトータルの時間は

短いものだ

 

存命の頃は

早くに伴侶をなくしたこともあり

またそもそも負けん気の強い人でもあったようだから

「わたしがこの家の大黒柱」と言わんばかりの

存在感のある人だった

 

嫁いできた者に言われたくないだろうが

まあ、可愛らしいおばあちゃんからはほど遠かった

 

その祖母がいなくなって

初めての帰省の時

食卓に並ぶ料理は見た目は変わらずのように感じたが

味がすっかり変わってしまっていた

 

わたしの気のせいかと思っていたが

上京するまで祖母のご飯を食べていた夫が

部屋に戻ると

「味変わったよなぁ。あののっぺもう1回食べてぇな」

とぼそっと言った

 

あれからトウキョウで毎年

なんとかあの祖母の味に近づけないものか試行錯誤している

材料はわかっている

 

里芋や人参など根野菜を切りながら

結婚した当初を思い出す

「根野菜は同じ大きさの拍子切り」

「これ少し大きい」

「これは小さすぎる」

わたしの手元を覗き込みながら言っていた

 

でもこれと煮える速さを考えて順番に野菜を入れて

同じ歯ごたえ、同じ大きさにすると

口に入れたときの一体感がでる

 

野菜を切って仕込んでいる間、

あの祖母のこうるさい声が聞こえてくる

よくもまあ、

かわいい孫の嫁にここまで口うるさく言えたもんだ(笑)

それを聞きながら野菜を切る

 

さて今年はさらに近づけるだろうか

すっきりと澄んだ出汁

けれど食べるとどことなく

あの地方ならではのワイルドさも感じるあの味

 

毎回真剣勝負なのだ

だから今日はこれしか作らない

じっと鍋の前に立ち

1対1の時間を大切にする

 

ばあよ。悪いけれど、あの頃は猫かぶっていたけれど

わたしもばあに負けないくらい負けず嫌いなのよ

きっと

ばあと同じくらい美味しいのっぺを作るから

 

きっとばあはにやりと笑っていることだろう