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The double

cotteの脳内日記

似顔絵

先日、自分を描く機会があった
絵を描くことが苦手な私は戸惑いながら
しばらく紙の上で手が止まって
空中に鉛筆でぐるぐる円ばかり描いて
ずいぶん時間を費やしてしまった

なんとか鉛筆で描いて、ところどころ
クレパスで色を足した

家に帰って、その絵をじっと見るたびに
少し既視感があったけれど思い出せない


しばらくして、
それは小さなきっかけだったが、
びゅーんと思い出が蘇ってきた

小学4年生の時だ

図工の授業で隣の席の人と向かい合い

お互いの似顔絵を描くことになった

隣の席の子は私が好きな男の子だった
3年生の時に私の暮らす町に引っ越してきて、
この図工の授業の時には
すでにまた引っ越すことが決まっていた

いわゆる転勤族

一緒の時間は正味1年ぐらいだったのだと思う
短い期間ではあったけれど、
繰り返される席替えでも隣の席になりやすく、
班行動も同じことが多くて、
放課後もみんなでよく遊んだ

あの頃はメールはおろか、
子供すぎて、写真を撮るとか
住所を聞くなんて発想もなく、
いやいや、バレンタインってものすら
どうだったか…な時代

私は、この似顔絵をなんとか実物に近づけて、
彼がいなくなっても寂しくないように
大事に持っていようと思った

こんなことすっかり忘れていたのに
思い出し始めると、
席の場所も
お互いどんな服を着ていたかまで
思い出せる
笑っちゃうな

大嫌いな図工の授業だったが、
この時の私はほんとうに真剣そのものだった

あの時描いた絵にタッチが似ているんだ
上達していないと言ったほうが正解かもしれない

いや、もしかしたら、
その子が描いてくれた私の顔に似ていたのかも
しれない

あの図工からしばらくして、
彼は転校してしまった

最後の日、彼が泣きじゃくっているのをみて
少し驚いた
なんど転校しても慣れないものなのかなと思った


今の私だったら、
泣いてしまうほど、

ここでの小学校生活は楽しかったのかなと

思ったりするけれど、

当時の私は、転校に憧れもあったし、

そこまで人の気持ちに寄り添える子ではなかったのだと思う

あの絵はどこへいってしまったかな

転校してしまった次の日、
彼と仲の良かった男の子から
「あいつからの伝言があるよ」と
耳打ちされた言葉は
私の小箱に大切にしまっておこう